【ノルウェー】 村上春樹の森

2007年08月10日

夜行列車の席は格安のクシェット。ベッドでなく座席のみで、まぁ高速夜行バスと同じような状況。車両はほぼ欧米人の若者バックパッカーで占められる。

朝9時半、ノルウェーの首都Osloオスロ到着。

CIMG2519.JPGあいにくの曇天のせいか夜行列車が寝にくかったせいか、気分が乗ってこない。
開催中のロックフェスティバルのチケット入手を目論むが、すでに完売。ちぇ。
インフォメーションで探す宿も満室ばかりで、市街地からだいぶ遠いユースホステルのシングルに空きを見つける。








トラム(路面電車)で30分弱。




…え?ここを登って行くの?


郊外の住宅街といった感じの後ろにそびえるのは、鬱蒼(うっそう)とした山。
手にしてるのはヘヴィーな荷物。
溜息をついて1歩踏み出す。

これじゃ地上のフィヨルドだよ…。あぁしんど。
えんえん坂を上ること40分。

やっと見つけた。Oslo Hostel YMCA。


スキンヘッドに「真剣勝負」と書かれたTシャツを着たノルウェー人の受付係に、バス停の存在を教えられる。
ちょっとーインフォメの姉ちゃんよー。
バスのあることも教えてくれよー。
しかもドミトリーに空きあるじゃんよー。


CIMG2510.JPG部屋に行って驚く。

こんな感じ。
適当にマットを好きなところに置いて、その上で寝袋にくるまって寝る。
ははーん。ここはノルウェーの青少年自然の家的な宿なのね。
黒板もあるし、これ元教室でしょ。
なんか「歩く会」(恩田陸著「夜のピクニック」の題材になったうちの高校の行事)で泊まった小学校を思い出すわ。
ここが満室になるわけなんてないわねー。




CIMG2507.JPGシャワーを浴び、髪を乾かしがてら宿の周りを散歩。
見事に山の中やなぁ。ノルウェイの森やな、ここは。
でも元気が出ないのは坂+寝不足+曇天のせい。“直子”とはだいぶ事情が違いまんな。


ぶらぶら歩いてたら1時間に1本と聞いていたバスが通りかかる。
なんとなーく乗ってしまう。
髪は半乾き、財布とパスポートとデジカメしか持っとらん。
まいっかー。

バスはゆっくりと坂を下りていく。
30分ほどで終点に着く。来るときに見たような地名だったので、トラムに乗り換えて中心駅に行き着く。
インフォメで地図をゲットし、ぶらぶら歩く。


CIMG2529.JPG海辺にある要塞。フィンランドのスオメンリンナ要塞と違ってだいぶでかいし堅固。











オスロ中央駅からロイヤルパレスまでをつなぐKarl Johans Gate通りに入る。人が多い。
薄着で出てきてしまったので風が冷たい。ワゴンセールで3着100NKr(ノルウェークローネ)≒2000円の店を見つけ、長袖などを適当に買って着る。


CIMG2555.JPG歩道はバラやゼラニウムやマリーゴールドが色とりどりに手入れされ、噴水も多く、穏やかな気分になる。












なんだかやっぱり疲れてるなぁ。もう帰ろ。
20分ほどトラムに乗ってバスの始発所まで行くも、次のバスは40分後。
げんなりして、辺りを歩いてみることにする。

人通りの少ない道をあちこち見るうち、映画館のような建物を見つけて中に入ってみる。
上映中かね。閑散としてるなぁ。


と思ったら。

CIMG2568.JPG
突然扉が開いて、テレビカメラと大勢の人がわっと出てきた。

なんだなんだ?

中央で濃いソース顔の美女が取り囲まれている。
Bollywood?ハリウッドのパクリかいな?
どうやらインドの都市Bombay+Hollywoodという意味。インドダンス映像フェスティバルという催しで、今日が初日のよう。なるほど、
中央にいるのはAmisha Patelというスターらしい。

そういえばインド系の人がめっちゃ多いな。ベリーダンスの衣装着た人もちらほらいるし。
そのうちロビーで軽食を配り始め、なぜか私にもくれる。これ幸いと頂く。タダで夕食ゲット。
いやはや、ノルウェーにこんなにたくさんインド人がいるとは知らなかった。


バスに間に合うように戻る。
あ。宿のあるバス停がわからん。
財布を探って住所の書いてある宿のレシートを見つけ、事なきを得る。


なんだか変な1日だった。
自分でふらふら歩いたんだけどさ。
なぜノルウェーに来てインド?(笑)
“僕”も日常にこんな罪のないハプニングがあったらもう少し楽に生きられたかもしれない。

疲れもピーク。
今日はもうストレイ・シープとなるわ。



<今日のグルメ>

CIMG2577.JPGバス停Torshovでの待ち時間でなんとなーく入ってみたSoria Maria映画館のBollywoodフェスティバルで配られた軽食。
手前はパイ。中にパプリカやじゃがいもを刻んでとろみをつけた具が入っている。
奥は小麦粉に野菜を混ぜてカレー味にして揚げたもの。
たぶんこれってインド味。だよなぁ。

【ノルウェー】 ムンクと叫ぶ

2007年08月11日

ここが学校を改造した青少年自然の家的ユースホステルだとしたら…

CIMG2587.JPGほーらやっぱりあった!体育館!!
一昨日ユーロバスケ観てからボールに触りたくて仕方なかったのよ。
無心にシューティング。












気分爽快。いい汗かいて、宿をチェックアウト。
外は雨。

CIMG2593.JPGムンク美術館に行くことにする。

超有名な『叫び』を初め、オスロ市が全面的に援助して膨大なムンクの作品を所蔵している。










見るうちに、ムンク的な人生観に浸る。
人間の快楽も喜びも弾けたように描く一方で、誰もが逃れられない嫉妬心や孤独感、何より死を突き詰めて突き詰めて描いているような印象を受ける。
緑と赤を好んで使ったこともわかる。
高校のとき衝撃を受けた『思春期』がなかったのが残念。

CIMG2594.JPG1番いいなと思ったのはこの『マドンナ』。
顔の表情といい、赤の使い方といい、ムンクの目を通じた愛と歓びはこうなるんだ。
でもそれだけでなく、多少『叫び』に通じる絶望の表現が頬のラインや周囲のオーラに見られて、一筋縄じゃいかない感がある。










それにしても、ムンクは非常に恵まれた画家だ。

絵を順番に見ていくと精神に異常をきたした時期や左手の指をなくした事故があったこともわかるが、世間では彼が絵を発表する度に旋風が巻き起こり、それを確かな手応えとしながら奨学金やパトロンに助けられて絵画制作に挑んでいる。それが縁で同時代のゴーギャンやピカソといった超有名画家たちと交流もしている。
この美術館にしても、遺言通りの望んだ場所・望んだ形での展示らしい。

面白いのは、第二次世界大戦時にドイツに支配されていたノルウェーは、戦後ムンクの絵を諸外国に貸し出すことで和解の道を開いていったということ。真に優れた芸術が持つ力。


ムンクワールドにだいぶ感化されて、オスロ大学の講堂(ムンクが寄贈した大作を保存)に行くが、土曜であいにく閉校。あ。叫びの顔を真似して写真撮ろうと思ってたの忘れてた。
そろそろ時間だったので、昨日ユーロパス割引で予約しておいたフェリーに向かう。
いやー。今やフェリーにも映画館やプールやネットカフェがついている時代なのね。ビックリ。
デッキからフィヨルドを臨む。明朝コペンハーゲン到着予定。


<今日のグルメ>

CIMG2589.JPGムンク美術館にあるカフェのチョコレートケーキ。
近くに座っていた人のカプチーノも叫びの顔をイメージしたものだったので、頼んで一緒に撮らせてもらった。

プロフィール

徳田和嘉子

  • 徳田和嘉子
  • 1983年生まれ。東大法学部卒。
  • 来年春から社会人。その前に夢だった世界一周へ。
  • 「東大生が教える!超暗記術」著者。
  • 尊敬:緒方貞子さん。
  • 趣味:バスケットボール、ベリーダンス、サーフィン、バイク。

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