【中国(チベット)】 一生で最上の喜び
2007年07月12日 00:44
朝、寝不足の自分を無理矢理起こし、ツアーの面々で大昭寺(ダージャオズー、ジョカン)に向かう。
寺の周囲は八廓街(バルコル)と呼ばれ、コルラ(巡礼)する人たちが時計回りで大勢歩いている。
その人数の多さに驚く。
マニ車と呼ばれる仏具をくるくる回しながら歩く極彩色の衣装の人たち。
赤い布をまとったお坊さんも、腰の曲がったおばあさんも、同じ方向に延々と歩いていく。
身体を地面にひれ伏しながら、五体投地して進む人もいる。
寺の前は五体投地する人で溢れている。
チベット仏教徒にとって、ここでコルラすることは一生の夢なのだ。
その一心不乱さに圧倒される。
彼らをここまでさせるエネルギーは何なのだろう。
標高が高く辛い生活を強いられる分、信仰が強まるのだろうか。
次に、布达拉(ポタラ)宮へと向かう。ラサ市内の一際目立つ高い所にある巨大な建物。
7世紀ダライ・ラマ5世の時代から建立が始まり、1959年に14世がインド亡命するまでチベットの聖俗両界の中心だった場所である。
中国人観光客の増加で、入場者数が1日1000人に限定された。
私たちは12:40入場のチケットで、見学は1時間しか許されない。
宮に向かう坂・階段が、酸素が薄いのと相まってきつく感じる。
要塞のようなのに、よく見ると、各窓の外側にはカーテンがひらめいている。その横を鳥が飛んでいく。
なんとか辿り着き、宮殿内に入って鳥肌が立った。
バター灯のバター臭い匂いが広がる。
赤・青・そして大量の金色という極彩色が溢れている。
その中央に巨大な仏像が鎮座している。
チベット仏教では
赤=仏の言葉
黄=仏の身体
青=仏の意識
という意味がある。
人は言葉・身体・意識を使ってさまざまな行いをするが、悪行を仏で清浄させるのだ。
タルチェ(祈祷旗)もこの3色がベース。
そして緑と白を加えた5色が自然の色として崇められる。
ただ、宮殿内の色の洪水は、タルチェと違って煤けた色をしていて、逆にそれが歴史を感じさせた。
昔行ったタイも似たような配色の寺院が多かったように思うが、あそこは常に鮮明な色に塗り替えられていて、歴史を感じさせる風情ではなかった。
やはりチベット仏教はインドに近いのだな。
蛍光ピンクや蛍光黄色も見られ、“世界無二荘厳”と呼ばれるダライ・ラマ5世の霊廟はなんと高さ17m、黄金15トン、ダイヤなど宝石1500個。圧巻。
チベット仏教徒のおじいちゃん・おばあちゃんたちもいた。
あちらこちらに頭を押し付けながら、満足そうに歩いていく。
ここに来ることが一生の目的なのだ。
そしてその横から彼らを追い越し、ガイドの説明を聞きながら進んでいく観光客たち。
その後、また今日も土産物屋2連発。
そして大昭寺(ジョカン)に戻り、今度は内部見学。
吐蕃国が巨大な権力を持つようになったことを恐れた唐が、降嫁(皇族の娘を嫁入りさせる政略結婚)させた文成公主が平安を願って建てた寺院である。
正門の屋根には羊の像。羊が土を運んで作ったことからラサという地名になったとも言われている。
大勢のお坊さんが経典を読んでいた。
最近のチベット人は子どもを仏門入りさせて信仰心と家計の両方を満たす。
屋上に上ることができ、そこからポタラ宮を臨む。
夕方4時、自由時間。
しばしの間だが、やっとツアーから解放される。
北京でお会いした加藤千洋さんがお薦めしてくださったカフェに行くことにする。
恐らくここだ。Makye Ame Restaurant。バルコル北東の角。
自家製のヨーグルトワインを飲み、テラス席からコルラする人たちを見渡す。
バルコル両脇は土産物屋がずらりと並ぶ。
左手に数珠、一番多いのが右手にマニ車を回しながらえっちらおっちらゆっくり歩くお年寄りのチベット人、同じくらいの数の観光客、その合間を縫うように車椅子や松葉杖の人たちも進む。
みんな一緒くたになって同じ方向に歩く。
「その光景は何時間でも眺めていられる」の言葉通り、飽きもせずに眺めていた。
必ずしも厳密な聖地ではない。何せ、チベット仏教徒と観光客が半々なのだ。
そして必ずしも厳格な宗教ではない。五体投地もしたいところでしたい回数だけする、コルラも回りたい回数だけ回る、寺院でこすりつける場所も人それぞれ。
この自由さは厳しい自然の中で生きる人々の懐の深さかもしれない。
<今日のグルメ>
大失敗。
「チベットの本格料理を食べに行きましょうよ」とツアー仲間の中国人マダムに誘われたので、せっかくここまで来たんだし、と160元≒2400円も払って一緒に行くことにした。
着いたところは「西蔵唐古拉演芸中心」。
観光客向けにばりばりに演出されたエンターテイメントショーだった。
…あー来るんじゃなかった。
料理は大体ツアーの昼食と一緒。
ただ、チベットヨーグルトとチベットのきな粉のようなおつまみが地元らしかった。
ショー自体は陳腐な内容で、スモークが焚かれ、ライトが7色に光る。
ステージに上がり込んだ日本人のおばちゃんが、歌手の持つマイクに向かって「ジャパニーズ!日本人でーす」と言うのに呆気にとられた。
ただ、最後のチベット人長老による民謡と、チベット各地方の民族衣装ファッションショーは興味深かった。



