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【スイス】 陽気なアメイジング・グレイス

2007年08月26日 17:52

ローマから北へ向かうつもりで夜行列車に乗った。
目が覚めると、ん?私以外乗客が誰もいない…?
電車はもう止まっている。窓から見えるのは…倉庫の中!?

しまった寝過ごした!もう回送電車になっちゃった!?
頭混乱、慌てて飛び起きる。

と、ふとしたことに気付く。
あれ…なんか床が動いてない?
てか、周り全部振動してない?
不思議に思って外に出る。倉庫の中に出口らしいものはなく、近くに階段を見つける。
上って行った先は…

突き抜ける青空と、見渡す限り真っ青な海。

なんと電車ごと船の中に乗っていた。
気持ちのいい風に吹かれ、しばらく見とれる。

とっくに甲板に上がってきていた他の乗客たちに聞いて合点がいく。どうやら間違えて南行きの列車に乗っちゃったみたい。
見えてきたのはシチリア島。
島の奥から港の方へ延びてきている線路は波際でぷつんと切れていて、船はちょうどそこに停泊。
船底の線路と島の線路を繋ぎ、列車はその上を走って上陸した。

乗り間違えるなんておばかな私。でもせっかくだからシチリア島も見ていこうかな。
頭の中にゴッドファーザーのテーマソングが流れ始める…。

***********

これは2年前の春休み、試しに一人旅したときの思い出。
おっちょこちょいぶりはこの頃からちっとも変わっていない。
このとき回ったイタリア・フランス南部・スペインは、今回割愛。
パリからスイスの首都ベルンへ。

今朝。目が覚めたのは屋根裏部屋。
これにはこういうわけがある。
昨日夕方、セーヌ川を見た後にパリを発ち、ベルンに着いたのが夜10時。
宿はどこもいっぱいで、途方にくれる満天の星空の下。
空きがなかったバックパッカー宿の警備員さんが「あそこに行くといい」と紹介してくれたHotel Golden Schlusselを訪ねると、
「満室だけど…内緒で秘密の部屋に泊めてあげよう」
と屋根裏部屋にあるスタッフ用の部屋に50スイスフラン≒5000円で泊めてくれた。
枕元に置かれた一口チョコレートを食べ、安心してぐっすり。


鳥の鳴き声と遠くで聞こえる鐘の音で目が覚めて、朝10時前、晴れ渡った外に出る。
都市と言っても、Old Townは本当に小さくて街のような雰囲気。日曜だからいつもよりさらに静かなのだろう。
すると、街の人がぞろぞろ同じ方向に歩いているのに出くわした。

なんだろう?
着いて行ってみると、Bundesplatzの広場に市民が大勢集まっている。
聞いてみると、今日はキリスト教の特別な日で、今からイベントが行われるという。
“Glaube Hoffnung Liebe”と書かれたプログラムをくれたので、街の人と一緒に広場で待つことにした。


10時ぴったり、コンサートが始まった。
どうやらどれも聖歌を陽気にアレンジした曲のようだ。ポップス調になっていてノリノリの音階。
CIMG3663-.jpg小さな子からおじいちゃん・おばあちゃんまで、スイス人がみな楽しそうにバンドと一緒になって歌を口ずさみ、身体を揺らして踊っている。
その様子に、なんだか私は感動してしまった。
プログラムに書かれた歌詞を見ながら私も一緒になって歌う。
ほとんどがドイツ語で意味がわからなかったが、英語歌詞の“Lord, I lift your name on high”などは理解できた。
神様も、こんなに楽しく愉快に祭ってもらえたらさぞかし嬉しいに違いない。

そして神父さんによる話が始まる。みな座って神妙に聞いている。
それが終わると、ジャズ調にアレンジされた“アメイジング・グレイス”をトランペットが高らかに演奏する。澄み渡った空にトランペットの音が吸い込まれていく。

それから、近くの人と5~8人組をそれぞれ作り、円くなってみんなで祈りを捧げる。
私のグループでも1人のお兄さんが祈りの言葉を言い、それを違うお姉さんが次いで言葉を述べた。私も神に心から祈りを捧げた。何よりこのイベントに参加させてくれたことを神に感謝した。

11時半にイベントはおしまい。みな知り合いを見つけたり握手を交わしたりしながら笑顔で談笑している。


CIMG3675-.jpg私が一緒に祈りを捧げた人たち。
別れ際、みなに「よい時間を過ごしてね」と心からの声を掛けられて嬉しくなる。
スイス人たちの祈りと心はここの空のように澄んでいる。














CIMG3684-.jpg
その後、アール川添いを散歩。
ここは自然と見事に合体している街!
全然アルプス山脈じゃないのにスイスってだけでもう気分はハイジ。










おじいさーん、ハイジはここよー!
CIMG3742-.jpg




















そして午後、ベルンから列車で1時間ほど西のチューリッヒへと向かう。

駅から南、日曜のため店が閉まっているBahnhofstr通りを行くと、行き着いたのはチューリッヒ湖。
まるで海みたい!


湖の周りで大勢の市民が思い思いに休日を過ごしている。
CIMG3861-.jpgCIMG3855-.jpg泳いでいる人、飛び込み台からジャンプしている人、日光浴をしている人、本を読んでいる人、子どもを遊ばせている人、白鳥にえさをやっている人、ヨットに乗っている人、さまざま。
駅のコインロッカーに入りきらなかった虹色の傘を、これ幸いとパラソル代わりにして湖に面したベンチに腰を下ろす。すぐ足元まで白鳥が悠々と泳いでくる。
平和だなぁ。幸せな休日だなぁ。
しばし風に吹かれてぼーっとする。


CIMG3764-.jpg街の方に目を向けると、時計塔が多い。
さすが精密機械の国、スイス。ベルンのOld Townの中心にあった時計塔も含め、どれもこれもが凝っていて、精巧なデザイン。
そのうち、街中の時計塔の鐘が一斉に鳴り始め、30分ほども続いた。
街中の細い坂道で、右からも後ろからも上からも下からもあらん限りの鐘の音が響き渡り、
音の洪水に飲み込まれてしまったような感覚に陥る。

その中で一番大きく聞こえる時計塔に行ってみた。下は教会、Christkatholische Kirche Zurich Augustinerkircheと書かれている。
中に入るとミサが始まったところだった。
ああそうか。チューリッヒでもベルンのように特別なキリスト教の日を祝うんだな。
そう思って端っこに座っていると、そのうち聖歌の合唱が静かに始まった。
鐘の音の後の静けさに染み渡るような、ベルンの陽気さとはまた違った崇高な感じの歌が次々と歌われる。
驚いたのは、パートが分かれていて上手にハモっていること。練習してるのかな。
みなが心を合わせて清らかな歌を歌う様子は心打たれる。

今日は幸運な日。
偶然にもベルンとチューリッヒでキリスト教徒のイベントに参加することができた。
それぞれ個性があったが、どちらも市民が心から楽しみ、聖歌を歌い、祈りを捧げていた。生活に根付いた心あたたまる宗教観。
昨夜親切にしてくれたホテルの人も含め、澄み渡ったスイス人の心を想った。


<今日のグルメ>
CIMG3643-.jpgホテルの朝食。ヨーグルトも牛乳もバターも、さすがスイス。乳製品が美味しい。
ウエストの太さほどもあるのを輪切りにされたパンは柔らかくってふわふわ。












CIMG3778-.jpg
ホームで買い、列車の中で食べた昼ごはん。ヨーグルトにグラノーラといろんな種類の果物が入ってヘルシー。スターフルーツの飾りもかわいい。

チューリッヒ湖畔でお気に入りの虹色16色傘の下で食べたアイスクリーム。この味はずっと覚えているだろうな。

プロフィール

徳田和嘉子

  • 徳田和嘉子
  • 1983年生まれ。東大法学部卒。
  • 来年春から社会人。その前に夢だった世界一周へ。
  • 「東大生が教える!超暗記術」著者。
  • 尊敬:緒方貞子さん。
  • 趣味:バスケットボール、ベリーダンス、サーフィン、バイク。

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