【中国(チベット)】 青蔵(チンツァン)鉄道の5レンジャー

  • 2007年07月09日(月)
  • 23:48

北京発ラサ行青蔵鉄道、21:30発。
チリを抜いて、世界一高いところを走るようになった鉄道である。


団体ツアーは好きではないので参加したことがなかったのだが、今回初めてのツアー参加が中国人のツアー。なかなか楽しみ。
座席表を見ると、私の職業欄は「教師」になっていた。
この適当さこそ中国。


6人部屋で中国人5人組と一緒。
友達4人組とその中の一人のお母さん。キャラ立ちしているので、勝手に5レンジャーの5色に当てはめる。



おしゃまなランツァー(ピンクレンジャー)、おっとりボーズ(青)、マイク(英語名にしたいからこう呼んでくれという笑。本名は王くん。中国婦女報勤務。赤)、ひょうきん者の女の子タイガー(同前、黄)、保護者役リリサ(緑)。


眼鏡の赤レンジャーと髪の長いピンクレンジャーは彼氏彼女らしく(赤とピンクが恋人なんてお約束?)、始終いちゃいちゃしている。付き合い始めて1ヶ月くらいかなぁ。微笑ましい。



そのうち、どうやら私が部屋を間違っていたらしいことが判明。
「ワカ、大丈夫。何とかするから」と、もう既に仲良くなっていた私が部屋に居られるように車掌さんと交渉。
嬉しいけどこの険悪な雰囲気、大丈夫なのか…?
結局、言い負かしてしまう。
この融通さこそ中国。





列車の中は、私たちのいる2等が3段ベッドの6人部屋。
1等は2段ベッド。
3等は普通の座席、肌の浅黒いチベット人が多い。
そして食堂車。


 


 


朝起きて、社内探検をしたり、北京で買ったチベット英語版ガイドブック(ロンリープラネットは見つからず)を読んだりしていたが、旅の疲れもあったのかトータル16時間くらい寝ていた。


そして夜7時頃、身体に異変が。


頭ががんがん痛い。ハラワタがひっくり返されたように気持ちが悪い。


これが高山病か…!


昔家族みんなで富士山に登ったときは大丈夫だったのになぁと苦しむ意識の中で思いつつ、2回ほど吐く(アレ?高山病じゃなくて車酔い?)。


その瞬間、5レンジャー出動!!


緑は私の身体をずっとさすって傍にいてくれ、赤はお湯を汲んで車掌さんを呼びに行き、青はスーツケースから薬を出して飲ませてくれ、黄は梅干を食べさせてくれた挙句に一袋まるごとくれ、ピンクは低い方のベッドと代わってくれて寝かしつけてくれる。


あぁ。有難い。家族みたいにあったかい。
この懐の深さこそ中国。


謝謝、5レンジャー。



<今日のグルメ>



チンザン鉄道の車内弁当。
朝食10元≒150円。一緒に付いてくる黒米のお粥が、味はついていないがお腹にやさしくヘルシー。
昼食になると20元≒300円。左側のおかずは朝ご飯のハム、青菜の茎、卵を炒めただけに違いない。
夕食は気持ちが悪くてパス。

【中国(チベット)】 Whenever, Wherever

  • 2007年07月10日(火)
  • 00:00

青蔵鉄道で迎える2回目の朝。
目が覚めると、気持ち悪さはすっかり治まっていた。


午前中はシャキーラの"Whenever ,Wherever"をiPodで聞きながら、青海省の雄大な大地を見て物思いにふける。


私は島国の女(大真面目笑)。
そして中国は大地の国。



田園。故郷の茨城とは土の色が全然違う。
だんだん、空が近くなってきたような気がする。
時折、羊や牛の遊牧が見える。


 


 


昼に「ムーンケーキ」=月餅と、乾燥イチジクを緑レンジャーがくれる。
午後、5レンジャーに中国語を習う。


祝大家旅途愉快!
随着海抜増高、気温就降低。



車掌さんも輪に加わる。
みんなで「カッコイイー!」と私が教えた日本語でからかう。
赤レンジャーとピンクだけでなく、黄色と青もカップルのようで、3組目のカップルとして私と車掌さんをくっつけようとする遊びが始まる(笑)。


ルー・ポンフェンさん。22歳。確かにイケメンやわ! 笑顔がすごくいい。
見つめ合ってお互いどきどきしながら微笑む。なーにやってんだか私。
昨晩、私を助けてくれたという。



酸素チューブで遊ばせてくれる。


 


 


 



青海省とチベットの境、那曲(ナクチュ)駅で途中停車。



そしていよいよ、2泊2日47時間の列車の旅を終え、チベット(西蔵、Tibet)の中心、ラサ(拉薩、Lhasa;Lasa)に到着。
標高3658m。富士山よりも高い所にある、通称・日光城(日光の都市)。夜8時でこの明るさ。
チベット語が書かれた白い布をレイのように掛けられて歓迎される。


 


<今日のグルメ>



ラサ中心にあるホテルの向かいの道を挟んだ家族経営の料理屋で、夕食に肉炒飯を注文。8元≒160円。
具はピーマン、玉ねぎ、木の根を皮のまま細かく刻んでやわらかく煮たようなもの、肉。
油っこいが、ひさびさにお腹が受け付けた食事に満足。

【中国(チベット)】 Shen(神)の棲む地

  • 2007年07月11日(水)
  • 00:13

早朝、チベットにしては珍しく雨。
そのうち太陽が顔を出し、雨に洗われた光景に息を呑む。


信じられる? 


空が手の届きそうなくらい近い。


目の高さと同じところに雲がある。


ここはShen(神)の棲む地。



初日はチベット仏教の神秘の湖・納木錯(ナムツォ)へ。
中国人のおじちゃんおばちゃんたちと17人、ツアーバスに揺られて片道4時間の道を行く。



標高4718m。


そんな高地で、山あいに瑠璃色の原料を溶かし込んだような不思議な光景が見えてくる。
近くまで来ると透明度が高い。ライトブルーの空の色を写しとっている。



まるで山上の海。




飾り付けられたヤク(牛の一種)が水面に映える。






赤・黄・青のタルチェ(祈祷旗)が青空に映える。




神が天地創造をした根源的な意味が全身で感じ取れるような気がする。
ここに3ヶ月くらいいたら、完全にピュアな人間に浄化されるだろう。


帰り道。余韻に浸りつつも、ツアーバスの多さと完璧に舗装された道路が気になる。
路上にいくつもある通関で止まる度に、バスの入り口まで来て物乞いをするあどけないチベットの子どもたちの姿が気になる。



中国最大の地熱発電所がある羊八井(ヤンバーチン)に寄る。標高4300m。
ここの水も明るい水色をしている。
滞在時間たったの5分でバスは出発。





ラサ近くまで戻ってきて、茶館へ。
ツアーってこんなサービスついてるんだ〜と感動して美味しく頂く。
が、しかし。
最後にしっかり販売説明。
なんだ売りつけるための試飲だったのか〜と思っていたら。
ええ〜!おばちゃんたち買っちゃうのー!?
あの程度の説明で?
しかも600元≒9000円お買い上げって!


続いて行ったのも土産物屋。これだから団体ツアーって…。
こんな時間あったら羊八井もっと見れたでしょ。金儲け主義やなぁ。





でも土産物屋で面白いものを発見。これは前に盟友ジョッキーが見せてくれたインドのエロ宗教とちゃいまっか…!?
地理的に中国の中央より断然インド・デリーに近いチベット。チベット仏教の起源はインドかね。世界史で習った吐蕃国ソンツェン・ガンポを思い出す。


 


すっかり仲良くなったツアーのおじちゃんおばちゃんたちは、茶館でも茶人の説明を私に説明してくれる、中国語が通じないので漢字で筆談しようとしてくれる、トイレに誘ってくれる、写真を撮ってくれる、連絡先を勝手に教えてくれる。
中国人は一度気に入るとぐっと相手に興味が湧くようだ。



10人で参加していた一族には子どもも3人含まれていて(もちろんそれぞれ一人っ子)、彼女たちは親と違って英語ぺらぺら。


ナムツォでは高山病で死んでいた(※高山病は歳が若いほど、新陳代謝がいいほど罹りやすい。徐々に身体を慣れさせる必要があるため、若いうちや小さいお子さん連れはチベットには飛行機でなく鉄道で向かうことをオススメする)が、
今ではすっかり元気で、いろいろ話しかけてくる。


「“かわいい”って日本語知ってるよ!」


「中国で犬夜叉ってアニメが流行ってるの。日本語でなんて言うの?」


「わたしハリー・ポッター大好き。中国では口合利波多って書くんだよ。日本のハリー・ポッターのファンサイト見たことある? 7冊目のタイトルはこの前発表されたんだよ! 日本は映画版の公開が早くて羨ましいな。わたしもう待ちきれないから、ヨーロッパまで観に行こうかと思ってるの。ヨーロッパは何度も行ったことがあるよ」


ツアーに参加してる家族はみな超裕福。


楽しい。
しかし、何かが引っ掛かる。


<今日のグルメ>



ツアーの遅い昼食は団体様御用達の観光客向けレストランだった。
夕食はラサのレストラン。中国来て初の回る丸テーブルやー!!
大人数でわいわい食べるのはいいね。


始めにお茶で湯のみとお茶碗とお皿をざっと洗う。それからめいめい自分に取り分ける。
おかず10品。
とりにくいものは、お皿の上にお皿を重ねて何とか並べていく。


野菜が豊富で、青菜だけで炒めてあったり、肉と炒めてあったり、唐辛子と炒めて味を変えたり。肉だけという皿はない。ただどれも油分多め。トマトときゅうりのスープが珍しい。
密かに伊東四郎と名付けたおじちゃんがばんばん私にビールを注いでくるので、ばんばん飲む。
美味しいのは最後のヌードル。薄味で、歯ごたえのいい丸麺がお腹に優しい。


ただ、びっくりしたのは中国人のいい歳したおじちゃんおばちゃんが、平気で骨やら嫌いなものやらをテーブルの上にぽいぽい吐き出すことだ。スープ用の“おたま”も、ごはんやら豆やら油炒めを取るのに併用されて味付けの差がわかりにくくなってくる。
食べ終わった後は、ものすごく喰い散らかしたような有様。



今日はもうひとつ。
チベットの観光客向け茶館兼売りつけ屋より。
こんな感じでお姉さんが説明しながらお茶を入れて回る。


‘啣咫〔 茶(シュウヨウチャ)
チベットで最も有名。白濁していて、味も見た目もミルクティー。



班禅貢餅茶(パンチャンクンピンチャ)
安眠効果があるらしい。ほうじ茶によく似ている。


西蔵虫草茶(西蔵=チベット。シーツァンチョンチョウチャ)
高級。安眠の効用が10個くらいあった。葉は丸めて粉粒状にしてあり、においがきつくて蚊取り線香みたい。ドクダミ茶をあっさりさせたようなさらっとした薬味がする。



お茶菓子。どれも身体に良さそう。
赤:ぶどうのような果肉を干したもの。甘くておいしい。
茶(銀色の紙に包まれている):固めたきなこのようなもの。
黒:見た目は黒みつの羊羹。味はハッカで甘くない。不思議。
クッキー:見た目ゴマのような柔らかい実入り。

【中国(チベット)】 不眠発作

  • 2007年07月11日(水)
  • 01:19

47時間列車に乗り、9時間バスに乗って最高に疲れているはずなのに眠れない。
来たこの感覚。いつものだ。


アドレナリンが脳内に分泌されまくってる。疲労で身体は動かせなくても頭の中が回転する。目が冴えて額が熱い。


寝なければならないのはわかっていても、こうなるともうお手上げだ。ある種の発作。
<br>
今回はなんでだろう。原因をあれこれ考える。


チベットの雄大な自然。溜め息が出そうなナムツォの瑠璃色。


一方で、中国人の団体ツアーバスに詰め込まれている自分。


ナムツォ周辺の観光化された部分と、未踏の部分。


名所を逆手にとって、ナムツォ行きは現地で追加料金を払わせ、土産物屋にばんばん行かせるという観光会社のボッタクリ作戦。


チベット仏教タルチェの鮮明な赤青黄色。


チベット人の物乞いの子どもたち。


それを見ながら、中国人の小学生が携帯電話をいじりながらハリー・ポッターの映画を観にヨーロッパまで行くという会話。


同じ中国人でも、陽気な人、親切な人、神経質な人など性格のバラエティがあることの縮図を見たツアーバス内の人間模様。日本人と変わらない。


チベット仏教はインド起源である可能性。


宿で出会った、ニュージーランドで働くうちに日本語を覚えたという中国人の女の子。



対比ばかりだ。まだ消化できていない。
自分は何をしようとしているのか。


糖分が足りないが、あいにくもう飴がない。
トーマス・フリードマンにヒントがありそうな気がするが、あいにく持ってきていない。「レクサスとオリーブの木」や「フラット化する社会」を読み直したい。


昨日は23時に電気が止まったけど、今夜は停電はないようだ。長い夜。

【中国(チベット)】 一生で最上の喜び

  • 2007年07月12日(木)
  • 00:44


朝、寝不足の自分を無理矢理起こし、ツアーの面々で大昭寺(ダージャオズー、ジョカン)に向かう。
寺の周囲は八廓街(バルコル)と呼ばれ、コルラ(巡礼)する人たちが時計回りで大勢歩いている。





その人数の多さに驚く。
マニ車と呼ばれる仏具をくるくる回しながら歩く極彩色の衣装の人たち。
赤い布をまとったお坊さんも、腰の曲がったおばあさんも、同じ方向に延々と歩いていく。







身体を地面にひれ伏しながら、五体投地して進む人もいる。


寺の前は五体投地する人で溢れている。






チベット仏教徒にとって、ここでコルラすることは一生の夢なのだ。
その一心不乱さに圧倒される。
彼らをここまでさせるエネルギーは何なのだろう。
標高が高く辛い生活を強いられる分、信仰が強まるのだろうか。



次に、布达拉(ポタラ)宮へと向かう。ラサ市内の一際目立つ高い所にある巨大な建物。


7世紀ダライ・ラマ5世の時代から建立が始まり、1959年に14世がインド亡命するまでチベットの聖俗両界の中心だった場所である。


中国人観光客の増加で、入場者数が1日1000人に限定された。
私たちは12:40入場のチケットで、見学は1時間しか許されない。



宮に向かう坂・階段が、酸素が薄いのと相まってきつく感じる。
要塞のようなのに、よく見ると、各窓の外側にはカーテンがひらめいている。その横を鳥が飛んでいく。


 


 


なんとか辿り着き、宮殿内に入って鳥肌が立った。


バター灯のバター臭い匂いが広がる。
赤・青・そして大量の金色という極彩色が溢れている。
その中央に巨大な仏像が鎮座している。


チベット仏教では
赤=仏の言葉
黄=仏の身体
青=仏の意識
という意味がある。
人は言葉・身体・意識を使ってさまざまな行いをするが、悪行を仏で清浄させるのだ。


タルチェ(祈祷旗)もこの3色がベース。
そして緑と白を加えた5色が自然の色として崇められる。


ただ、宮殿内の色の洪水は、タルチェと違って煤けた色をしていて、逆にそれが歴史を感じさせた。


昔行ったタイも似たような配色の寺院が多かったように思うが、あそこは常に鮮明な色に塗り替えられていて、歴史を感じさせる風情ではなかった。
やはりチベット仏教はインドに近いのだな。


蛍光ピンクや蛍光黄色も見られ、“世界無二荘厳”と呼ばれるダライ・ラマ5世の霊廟はなんと高さ17m、黄金15トン、ダイヤなど宝石1500個。圧巻。



チベット仏教徒のおじいちゃん・おばあちゃんたちもいた。
あちらこちらに頭を押し付けながら、満足そうに歩いていく。
ここに来ることが一生の目的なのだ。


そしてその横から彼らを追い越し、ガイドの説明を聞きながら進んでいく観光客たち。


 


 


その後、また今日も土産物屋2連発。





そして大昭寺(ジョカン)に戻り、今度は内部見学。


吐蕃国が巨大な権力を持つようになったことを恐れた唐が、降嫁(皇族の娘を嫁入りさせる政略結婚)させた文成公主が平安を願って建てた寺院である。


正門の屋根には羊の像。羊が土を運んで作ったことからラサという地名になったとも言われている。


大勢のお坊さんが経典を読んでいた。
最近のチベット人は子どもを仏門入りさせて信仰心と家計の両方を満たす。


屋上に上ることができ、そこからポタラ宮を臨む。



夕方4時、自由時間。
しばしの間だが、やっとツアーから解放される。


北京でお会いした加藤千洋さんがお薦めしてくださったカフェに行くことにする。


恐らくここだ。Makye Ame Restaurant。バルコル北東の角。



自家製のヨーグルトワインを飲み、テラス席からコルラする人たちを見渡す。


バルコル両脇は土産物屋がずらりと並ぶ。
左手に数珠、一番多いのが右手にマニ車を回しながらえっちらおっちらゆっくり歩くお年寄りのチベット人、同じくらいの数の観光客、その合間を縫うように車椅子や松葉杖の人たちも進む。


みんな一緒くたになって同じ方向に歩く。


「その光景は何時間でも眺めていられる」の言葉通り、飽きもせずに眺めていた。



必ずしも厳密な聖地ではない。何せ、チベット仏教徒と観光客が半々なのだ。


そして必ずしも厳格な宗教ではない。五体投地もしたいところでしたい回数だけする、コルラも回りたい回数だけ回る、寺院でこすりつける場所も人それぞれ。


この自由さは厳しい自然の中で生きる人々の懐の深さかもしれない。



<今日のグルメ>



大失敗。
「チベットの本格料理を食べに行きましょうよ」とツアー仲間の中国人マダムに誘われたので、せっかくここまで来たんだし、と160元≒2400円も払って一緒に行くことにした。
着いたところは「西蔵唐古拉演芸中心」。
観光客向けにばりばりに演出されたエンターテイメントショーだった。
…あー来るんじゃなかった。


料理は大体ツアーの昼食と一緒。
ただ、チベットヨーグルトとチベットのきな粉のようなおつまみが地元らしかった。


ショー自体は陳腐な内容で、スモークが焚かれ、ライトが7色に光る。
ステージに上がり込んだ日本人のおばちゃんが、歌手の持つマイクに向かって「ジャパニーズ!日本人でーす」と言うのに呆気にとられた。


ただ、最後のチベット人長老による民謡と、チベット各地方の民族衣装ファッションショーは興味深かった。

【中国(チベット)】 2つの対比

  • 2007年07月13日(金)
  • 01:22

チベット最終日。


昼12時に迎えが来ると聞いていたのに、朝8時半に宿屋の主人が来て、「あと5分で出発すると連絡が来たから急げ」と言う。


大慌てで荷物を詰め込む。


宿で仲良くなり、現地旅行会社の対応の悪さに一緒に文句を言っていたリンリン(ニュージーランドで働く中国人で、彼氏が日本人のため日本語ぺらぺら)たちに別れを告げ、急遽空港行きの車に乗り込む。


 



空港までの道は自然がそのまま残されていて、人もおらず朝の太陽に照らされていた。


目を奪われ、スピッツを聞きながら一人物思いにふける。


 


荘厳な山。山。山。麓に広がる水辺。合間を縫う雲。
形を変えながらも、それがどこまでも続く。


 


 


ああ。そういうことか。
一昨日の晩から悶々と考えていたことに答えが出た気がした。



まず、自然と人間の対比。


どんなに人間が開発しようとも、恐らくチベットの大自然にはこの先も敵わないだろう。
ナムツォへの道路が開発されても、道路と通関以外は全てそのままの自然だった。
青蔵鉄道でさえ、敷設までに1キロ当たり1人の高山病による死者が出たほどなのだ。
チベットでは観光客を呼ぶためにこれからも開発が進むだろう。


でも、人間の生活水準に対する考え方が変わってどんなに足掻こうとも、大前提であるここの自然は変わらない。



そして、人間のローカルとグローバルの対比。


人間の基本にあるのはローカルな家族。永遠不滅。
貧しいチベット人でも裕福な都市部中国人でも変わらない。
チベット人は家計を助けるために、観光客向けのショーで踊り、子どもに物乞いに行かせ、中国語と英語を練習して土産物屋を経営する。
裕福な中国人は、一人っ子政策によるたったひとりの子どもの教育に大金を投資し、子どもをヨーロッパに行かせ、一族の団結を深めるためにチベットまで家族旅行に赴く。


グローバル化によって生活は変わる。それに順応していくのは、家族の幸せのため。


自然と家族が大前提とさえわかっていれば、どの状況が不幸でどの状況が幸福かという基準はない。
チベット人も中国人もこの点では変わらない。



結局、1時間くらい走ったところで、17時の飛行機だという連絡が入る。
しかし私は怒らない。早朝のドライブ、いい時間だった。
道端に車を止め、運転手と二人、スイカを食べて空を仰ぐ。



ラサに引き返し、向かったのはもちろんMakye Ame Restaurant。
またコルラする人を眺めていた。


 



帰りの飛行機、上空から見るチベットの山々がまた素晴らしい。


四川航空でまずは成都へ。隣席の南京在住・チャン・イェンちゃんに「中国人かと思った!」と言われる。「南京へ来るときは必ず連絡してね!」


乗り換えて海南航空で北京へ。隣席の出張帰りのビジネスマン・ヤン・シャオプーくんも、私を中国人かと思ったらしい。3時間かけて中国語講座をしてくれた。
挙句、私が空港からバスとタクシーで北京大近くの海淀橋まで移動しようとしていることを知り、
「23時半北京着なのに女の子一人で危ない!僕は車で来ているから任せて!!」
と言い、全く違う建国門方面(恐らく高速使って30分ほど)に住んでいるのに送ってくれる。


今夜は北京大の寮には入れないので宿に向かうが、あいにく空室なし。
困った私を受付のお姉さんが別の宿まで連れて行ってくれ、交渉してくれる。向こうも、改装中だけど尽力するよ、というような意味のことを言って普段は客を入れない部屋に泊めてくれた。



後にヨシが、「日本人は曖昧な距離で人と付き合うことが多い。一方中国人は、親密か他人かのどちらかしかない」と言った。
中国人のあったかいハートを感じたチベットからの帰りだった。



<今日のグルメ>




ランチはバルコル北東の角に位置するMakye Ame Restaurantにて、本格的な西蔵(チベット)料理を頂く。


‖⊆飴戚乾庇峙軻。
18元≒270円+1チャパティにつき3元≒45円。
ヤク(チベットの牛)とラディッシュのピクルスを唐辛子で炒め、チャパティに包んで食べる伝統料理。ピクルスは見た目も味も紅しょうが。不思議な味。


卓 王馬 哲 基折 (ジュオマ・ジェシ)
20元≒300円。
蔵式甘食(チベット式デザート)。
レーズン、りんご、人参、緑色の豆、木の根のようなものをご飯と一緒に甘く煮込んである。何が入っているか食べるのが楽しくなるデザートだが、甘ったるい。


ここのレストランには、チベット伝統料理を現代風にアレンジしたメニューも多いので、その方が美味しいと思う。
昨日飲んだ自家製ヨーグルトワインはかなりイケた。

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旅人

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1983年生まれ。東大法学部卒。
社会人としてスタートを切る前に、夢だった世界一周へ。

尊敬:緒方貞子さん
趣味:バスケットボール、ベリーダンス、サーフィン、バイク

著書

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【雑誌】
『Zai』(ダイヤモンド社)「ミニ株バトルコーナー」連載(06年7月号〜07年7月号)
『社労士V』連載(日本法令)(07年10月号〜)
『メモ ノート200%活用ブック』(日本能率協会)
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