【レバノン】 暗殺現場とジャーナリストマン

  • 2007年10月17日(水)
  • 21:18

イエメンでの偽装結婚に失敗したので、サウジアラビアを諦め、北西へ!

トルコの南、地中海に面したレバノンの国旗は上下に赤い帯を配し、中央に杉を大きくあしらったデザイン。紀元前15世紀頃、古代国家の貿易商人として活躍したフェニキア人がガリレオ船を造るのに使っていたのがこのレバノン杉である。
 
首都Beirutベイルートは中東とヨーロッパの交易の要として栄え、近代ではフランスのマルセイユとの貿易によって色濃く影響を受けたことから、「中東のパリ」とも呼ばれている。

観光、文化、知的活動、ファッションが栄え、外交官や国際ビジネスマンが行き交うおしゃれな都市をイメージして新市街に入ろうとすると…なんと中心部は戦車と兵士に取り囲まれ、物騒な雰囲気。人影はわずかしかない。兵士が疑い深そうに機関銃を向けてきた。


一方、街を離れて郊外に行くと、UNと書かれた国連カーが目につき、簡易な建物の難民キャンプが広がっている。こちらは活気に溢れている。

パレスチナPLOとイスラエルの対立を引き金として、レバノンのヒズボラなどのイスラム教シーア派の非軍事組織とイスラエルが幾度となく戦火を交え、隣国シリアも介入して、微妙な政治バランスが続いている。

わずか1年前(2006年)にはレバノン侵攻が起こり、国境を侵犯したヒズボラを追ってイスラエルが空爆開始、ラフィル・ハリリ空港は破壊されベイルートは海上封鎖、物資が入ってこないどころかテレビ局や携帯電話の基地局も破壊されて国は麻痺状態になった。

100万人近いレバノン難民が発生し、半数が子どもである。現在でもイスラエルに近い南部地方はテロや地雷が多く、近寄ることができない。

こんなに物騒な国でダンナ候補なんて見つかるかと心配になる。
ところがどっこい、私には出会いの神様がついていた。

***

見張りの兵士の荷物チェックを受けると、戦車の横を通り抜けて新市街に入ることができた。

カルティエ、プラダ、イブ・サンローランにティファニーなど高級ショップが一応開店しているものの、お客はゼロ。スターバックスに入ると、100席ほどある広い店内を私は独り占め状態。

寂しくなった私は、かろうじて人がぱらぱら集まっているのはアイスクリーム屋に向かった。異様な雰囲気の街に飲みこまれないように甘いものを食べて元気を出そう。

コーンに乗せるアイスを3段にするか4段にするか迷っていたら、

「どこから来たの?おごってあげよう」

と話しかけてきたナイスミドルのレバノン人のおじさま。嬉しい!やっと話ができそうな人が見つかった!

もらった名刺によると、ハヒルはフランスの新聞ル・モンドの記者。毎日レバノンの様子を書いてフランス本社に送っているそうだ。

「だいぶマシになったけど、毎日何が起こるかわからない緊迫した状況だよ。よく来たね。」

***

次の日、新市街に隣接するル・モンド新聞社の入り口でハヒルと待ち合わせ。入り口では爆発物を所持していないか厳重な荷物チェックが行われている。

仕事を終えたハヒルに連れられて街を歩く。

「キミが今立っているその場所は、2年前(2005年)に首相のハリーリーが暗殺された場所だ」

ぎゃーー!飛び退く。レバノン経済を立て直した英雄ハリーリーが殺されると国内はますます荒れ、ヒズボラもしくは親シリア派と反シリア派の対立が深まって行った。

巨大な黄土色のモスクを通り過ぎ、地中海にそそり立つ有名な鳩の岩を見て回りながら、ハヒルと話す。

「今一番の関心事は、来月(2007年11月)の大統領選挙だ。結果次第で、また内戦が起こるかもしれない。」

かつて貿易の要所として繁栄し、少し前までは「中東のパリ」と呼ばれて商社マンの憧れだった国が、今や爆弾テロ・暗殺の温床となり、戦禍の中心と化しているのが何だか信じられなかった。

ダンナを探すには、この国はハードルが高過ぎる。

※なおエジプトに到着後、親・反シリア両派の対立により、結局大統領選出が行われなかったことを知った。2008年8月にはミシェル・スライマーン大統領とシリアのバッシャール・アル=アサド大統領が会談し、国交正常化に合意している。

<グルメレポート>

激ウマサンドイッチ屋を発見!アラビア料理の中でもクオリティが高いとして有名なレバノン料理は、ファラフェルというひよこ豆のコロッケや、揚げカリフラワー・揚げナス、そして定番のケバブなどがあるが、これらをフランス統治の影響が色濃く残るフランスパンに挟み込み、パリで見たのと同じように焼き器でぎゅっと挟んで潰してパニーニにしちゃう店を見つけた!
ソースはヨーグルトペースト、ナスのすり潰し、フンムスというひよこ豆のペーストから選ぶことができる。とにかく美味しくて、6食連続で食べてしまった。

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旅人

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1983年生まれ。東大法学部卒。
社会人としてスタートを切る前に、夢だった世界一周へ。

尊敬:緒方貞子さん
趣味:バスケットボール、ベリーダンス、サーフィン、バイク

著書

メディア出演履歴

【雑誌】
『Zai』(ダイヤモンド社)「ミニ株バトルコーナー」連載(06年7月号〜07年7月号)
『社労士V』連載(日本法令)(07年10月号〜)
『メモ ノート200%活用ブック』(日本能率協会)
『クロワッサン』(対談 高田万由子さん)
『週刊現代』『女性セブン』
『CIRCUS』『日経キャリアマガジン』
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